ふと何気なく、新宿ヨドバシ ホビー館2階の、階段から鉄道模型コーナーにいった突き当りNゲージのショーケースの、グリーンマックスのエコノミーキットの東急5200系のマスクに目が行って。
「湯たんぽ、作りたいなあ」
プラモデルの制作だなんてガルパンブームのドイツ戦車以来なのに、なぜだか無性に作りたくなってしまった。
2両入りで価格1,200円、1両600円か、安すぎる。
確か前回制作したとき使ったカッターやらニッパーやらタミヤセメントやらがあるはずだからと、特に何も考えずに購入してきた。ゴールドカードで120ポイント獲得。
ウキウキで帰宅し、ニッパー片手にキットといざ対峙して気付く。
右が5200系のマスク、中央下が5000系のマスク。
罠だった。まんまと嵌まった。
5000のマスクをポンと変えるだけで5200に変身するとばかり思っていた。
アホすぎる。
実際には、5200のマスクは窓から下が絞られていて、5000の断面とまるで違う。
このキットを使って再現するには、5000の側面窓下を切り、プラ板を張り直すなど大掛かりな改造が必要になる。
或いは、夢に描いた湯たんぽは作れず、渋谷駅前に鎮座していたアオガエルが爆誕する。
困った。
困ったが、いったん東急5000を組み立てることにした。
接合部など甘いところがあるけれど、あまり気にせず組む。
屋根は塗装後に接着するとして、ひとまずここで一日目終了。
と、ここまでブログを書き込んで、とても実物の湯たんぽが見たくなってしまった。
実は9月下旬まで、上田電鉄に保存されていた1両が展示されている。
ということで、上田まで行ってきた。
高速を車で2時間半、夕方到着してから駅員の方に挨拶した以外、誰とも話さず、日没後までひたすら撮影しただけだけれどなんとなく満たされた気分になった。
二日目、せっかく組んだ車体を色々と眺め、決心。
なるたけ細いプラの角棒を世界堂で買い、こいつでコルゲートを再現することにした。
求めているのは東急5200系ではなく、湯たんぽである。
カエルっぽいがシルバーでなんとなくコルゲートが車体に這っていればそれなりに見える。
と、思う。
あくまでも試作。
数年ぶりの工作をするのである。そんな厳しい気持ちでやっていたら完成しない。
(そもそも買ってきた未塗装キットを完成させた事がない)
ひたすら貼り続ける作業。もう一両も同様に組んで、コルゲート職人になる。やらなければならない作業は分かっているのに、不器用な手がスムーズに動かない。プラ棒を貼るのにかなり時間が掛かってしまった。全面マスクにもコルゲートを巻くと、なんとなくいい雰囲気になりつつある(気がする)。或いは、心を北方へ寄せるていくとロシアのエレクトリーチカに見えてくる(かもしれない)。
車体をまるっと組んでしまったら、塗装に移りたい。GMの未塗装キットは中学生のとき、一度だけ組もうとしたことがある。113/115系のキットで、塗装選びも塗装の仕方も分らず、失敗した。模型屋の店頭にあったタミヤのエナメル塗料を薄めず筆塗りして、ボロボロのキメラを作り出した。あれは酷いものだった。
幸い、今では検索で少し調べれば塗装の仕方はわかる(かもしれない)。なにより、友人にめっぽう詳しい方がいる。ありがたい限り。今回、車体はとりあえず缶スプレーで塗装する。
先にサーフェイサーを吹いて、そのうえで塗装をしろと、サフ吹けば色乗りちがうプラモかなってんで、缶サフも用意した。まずはプラモを食器用洗剤で洗った。台所で。まだ未完成なるも自分で造形したものが自分の手の中にある高揚感を感じた。洗い終えてからキッチンペーパーを使って水気を切り、割り箸を用意。串刺しにして、両面テープで固定。サフ吹いたらなんだか本格的にそれっぽく見えてきて心のwktkが止まらなかった。
サフの次は本塗装に入る前に、下地の塗装をするといいって友人が言ってた。Google先生もいってた。塗装、奥が深い。わからない。
今回は、最終的にステンレスシルバーテッカテカにしたいわけで。下地は黒がいいらしい。これも缶スプレーで、サフと同じ要領で塗装。
乾くまでもどかしい時間が過ぎるけれど、AbemaTVで見られる美味しんぼテレビシリーズを観ていたらあっという間。この夏は連日真夏日、数時間も経てば直に嗅いでもシンナー臭は消えていてだいたい乾燥したかなって感じ。
いよいよ本命のシルバー塗装をした。気分がいい。調子に乗って手で動かしながら塗装していたら、微妙に手もシルバーになりかけた。
塗装した車体を乾燥させつつ、残るは下回りと屋根。ここでパンタグラフと車輪を別途購入してくるのを忘れているのに気付いた。
新宿ヨドバシホビー館。なんでも置いてあるわけではないけれど、何かしらはある。適当に黒い電動台車、適当に黒い菱形パンタグラフを適当に見繕って買ってきた。DT-46とPS13だったか…。鉄道部品にはとことん造詣がない。それ故に自由形でいい。自由形は楽して楽しめる。「そんなもの実在しないよ」ってツッコミには「そのとーり!」と元気よく返せる。
車体は缶スプレーで塗装したものの、調べて出てきた筆塗りも一応試してみたい気がする。屋根は筆塗りとして、薄め液と塗料も併せて購入した。ベンチレーターなど屋根上は、実車の5000系を知らないこともあってとてもざっくり適当に配置、接着。塗装の様子。いや、ダメみたいですね。どうしてもムラムラになっちゃう。薄め方が悪いのかしら。
なるべく筆塗装はやめようと思った。下回りの外から見える部分については元から黒いので、そのまま床下機器、重り、台車を取り付け。全パーツ集結。あとはこれらを接合するだけ。
と思っていたけれど、窓がスカスカなことに気付いた。キットの袋を確認するも、窓用のプラ板など入ってなかった。残念。またヨドバシで買い物。透明のプラ板はタミヤの製品を購入。プラ板を切り出し。友人に貰ったアドバイス通り、ゴム系接着剤を使用。ヨドバシの店頭には木工用ボンドしかなかった、残念。ついでにカトーカプラーに換装。アーノルドカプラーアレルギーを発症しつつある今日この頃。これにて作業終了。完成。ヨドバシの店頭でみた湯たんぽ。夢の湯たんぽ。湯たんぽ湯たんぽ。
初めて未塗装キットを組み立てた感動と、自分が思っていた物に非常に近い実物ができた達成感が。いやあ、ものつくりっていいなあ。